様々な世界でご活躍されている方のライフスタイルと香りのつながりをインタビュー形式で紐解きます。
Stories 01はアナウンサーとして第一線で活躍された後、フローリストへと転身した前田有紀さん。
現在は東京と鎌倉で2店舗のフラワーショップを営みながら、花と香りを通じた豊かな暮らしの提案を続けています。
五感で楽しむ花のあり方を伝えたいと語る前田さんに、花と香りの深いつながりについて伺いました。
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様々な世界でご活躍されている方のライフスタイルと香りのつながりをインタビュー形式で紐解きます。
Stories 01はアナウンサーとして第一線で活躍された後、フローリストへと転身した前田有紀さん。
現在は東京と鎌倉で2店舗のフラワーショップを営みながら、花と香りを通じた豊かな暮らしの提案を続けています。
五感で楽しむ花のあり方を伝えたいと語る前田さんに、花と香りの深いつながりについて伺いました。
アナウンサー時代、スポーツを極めたアスリートやエンターテインメントの世界で輝く方々にマイクを向ける中で、「好きなことを仕事にしている人は本当に輝いている」と感じていました。
そんな方々とご一緒にお仕事をしている中で、私自身も好きなことを仕事にしたら人生がどう変わるんだろうという好奇心が生まれたんです。
好きなこと探すのにも結構時間がかかったのですが、自然と選んでいったのがお花だったんですよね。子供の頃から自然がすごく好きだったのと、母がいつも家に花を飾ってくれていたという影響もあったのかなと思います。
アナウンサーの時代も、昼夜問わず不規則になりやすい暮らしの中でも、帰るとお家にお花があると気分が明るくなったり、ほっとする時間を過ごせたり。その実感が、お花を職業にしたいという決意の決定打になりました。

今は東京と鎌倉で2店舗のフラワーショップを営んでいますが、どちらのお店でも香りをすごく大切にしています。見た目の可愛さはもちろんなんですが、お花の香りって本当に大きな魅力のひとつで、香りの説明をした上で手に取ってもらうと、お客様がにっこり笑顔になるんですね。
今日も午前中はイベントの装飾で、畑から収穫したお花をそのまま持ち込み展示会に参加してまして。お客様の顔に近い位置にそのお花に入っていたミントとラベンダーが近づくと、みんな「すごくいい香り」と笑顔になってたんです。やっぱり香りには人を笑顔にする力があるなと、まさに今日も実感しました。
畑ではいろんな植物が植えられていて、お花ごとに香りが違います。昆虫もたくさんいて、蟻がいっぱいくっついていたり、蝶が飛んでいたり。いろんな生き物の中にお花があって、その香りが生まれているんだなと実感できるのが畑の良さですね。都会で生活をしている方々にもそんなお花や香りを通して自然の息吹を感じてもらえたらいいなと思っています。
店頭では見た目で選ぶ方が多くて、もちろんそれもすごく素敵なことなんですけど、「このお花は香りがいいですよ」とお勧めすると、全然注目していなかったお花をすごく好きになってくれることも多くあります。香りをテーマにお花を選ぶのは、すごく面白い楽しみ方だと思いますね。

街中で育ったので、自然への憧れは人より強かったと思います。
実は、祖父が畳職人で、夏に母の実家に帰ると畳の香りがいつもしていました。祖父が畳の素材で縄を作って縄跳びにして遊ばせてくれたこともありました。あの畳のほっとする香りは、幼少期の懐かしい記憶として今も残っています。
そしてもうひとつ、アナウンサーを辞めた後に渡英した際の記憶ですね。
ホームステイ先のコッツウォルズが、各ご家庭内に広い庭のあるような場所だったんです。私のホストファミリーのご主人がお料理好きで、庭で育てたハーブをお料理に使って出してくれるんです。「イギリスの料理は美味しくない」なんて聞いていたのに、毎日自分たちの畑で取れた野菜をハーブと一緒に調理してくれて、本当に美味しかったんですよね。
あるとき、スコーンを焼いてくださった際にルバーブのジャムを添えてくれました。それが甘酸っぱくて本当に美味しくて。モルトンブラウンのルバーブ&ローズの香りを嗅いだとき、あの時の記憶が蘇ってすごく懐かしい気持ちになったんです。それ以来、大好きな香りのひとつになっています。
お城の庭でインターンもしていたのですが、そこは本当に「香りの宝庫」でした。
バラのお庭では、蜜蜂がいっぱい飛び交うラベンダーのところでメンテナンスしていると、清々しい香りに包まれスイートピーの優しい香りにも癒されました。庭仕事=いろんな植物の香りに出会えるお仕事というイメージでしたね。コッツウォルズの街ではみんなお庭があって、そこでいろんなお花を育てているのと、ロンドンでもベランダにお花を飾る人がたくさん見かけていたので、日本でもベランダでお花を育てる人を増やせたらいいなと、夢が膨らんだのを覚えています。

季節ごとに香りをテーマにお花を選ぶのはすごく面白いです!
春はやっぱりスイートピーが本当に香りが良くて優しい。「記憶に残る香り」とも言われているらしくて、卒業シーズンや節目の時にお渡しするのにもぴったりなお花です。
夏はユリが咲く季節で、優雅な甘い香りが楽しめます。5月頃からバラの季節に入りますが、香りのあるバラは本当に素敵ですね。
秋から冬にかけては針葉樹がたくさん出回ります。森の香り、木の香りを楽しむのにすごくいい季節です。モルトンブラウンさんとのリースのワークショップでは、会場中がその香りになってましたよね…!
本当に1年中、季節ごとに楽しめるお花の香りがありますね。
お花の楽しみ方って、まだまだ見た目の楽しさ以上のことが伝えきれていないと思うんです。触ってみると、モフモフした質感の花もあったり、硬さや柔らかさ、葉っぱの厚みもそれぞれ全然違う。香りもたくさんの種類がある。視覚以外の感覚でも楽しめるようなお花との出会い方ができたら、もっと暮らしが豊かになると思っています。
自分自身のチャレンジとしては、庭づくりの事業を始める準備をしています。アナウンサーを辞めてからの10年間はお花の仕事に集中してキャリアを進めてきましたが、イギリスのお庭の記憶がずっと心に残っていました。いろんな植物を植えたり、香りのするハーブを育てたり、お花があることで自然環境も良くなりますし、そこに生き物の営みが生まれて、生物多様性の面でもいろんな生き物たちが生きていける場所をつくることにもなります。切り花だけでなく、植物を通じてもっと多くの人が自然と深く関われる環境を、庭先からつくっていけたらいいなと思っています。
一方で、転職してすぐの頃はお花の仕事だけに集中していたんですが、今はご縁があれば別のお仕事のご依頼も検討する気持ちがあります。花の世界にずっといると視点が固まりがちなので、ちょっと外に出ることが視野を広げるきっかけにもなるかなと思ってまして。

日々お花の仕事をしているので、自然の香りに触れる機会は人より多いかなと思いますが、やっぱり香りのあるものがすごく好きです。気持ちを切り替えたいときや集中したいとき、そういうときに香りを選んでいくのがすごく好きですね。気分や行動に応じて香りを変えています。
普段の生活の中でも、香りには日々の気分転換の力があると感じています。手を洗うとか、車に乗るとか、そういう何気ない時間が、香りがあることで「ちょっと特別な時間」に変わる。その感覚がすごく好きなんです
モルトンブラウンさんにお花をお作りさせていただいたり、イベントでご一緒する機会があって、香りの解説もしていただきました。最初に感じる香りと最後の余韻の香りに段階があるということを知って、感動したんです。ただ一瞬のいい香りで終わるんじゃなくて、すごく研究されてつくられているんだなと。花の仕事をしている私から見ても、どの香りも本当にいいなと思っています。
最初の頃のコラボレーションで、「ジンジャーリリーの花を入れられないか」と議論したこともありましたね(笑)。本当にいい香りで、ハンドソープを使わせていただいたら、手を洗うたびに幸せな気分になったんです。今まで「手を洗う時間」ってただの時間だったのに、ちょっと特別な時間になる。香りがあることで豊かな時間をつくり出せるんだということに、すごく感動しました。

「ジンジャーリリー」のハンドクリームはすごく重宝しています。冬場は本当に手が荒れるんです。あかぎれもできるし、保湿が本当に大切で、毎日何回も塗り直しています。その塗る時間もジンジャーリリーの香りを楽しんでいます。
「デリシャスルバーブ&ローズ」は、先ほどお話ししたイギリスでの思い出と重なる香りで、すごく好きです。甘酸っぱい香りで、モルトンブラウンさんでこの香りを嗅いだときに懐かしい気持ちになって、それ以来ずっと好きな香りのひとつです。
「サイプレス&シーフェンネル」のフレグランスは車の中で使っています。週3回の市場通いで早朝から運転するので、車内でシュシュッとします。森の香りみたいだけど、ちょっと海の香りもするような爽やかさで、本当に目が覚めます。あと、なんだかおしゃれな車になった気分にもなって(笑)。人を乗せる前にもシュッとしたりしていますね。
ちなみに、湘南にある畑から車で東京まで花を運ぶこともあるんですが、あるとき高速道路を走っていたら芋虫が車内を歩いていて……畑からうっかり連れてきちゃったんです。途中で停車して逃がしましたけど(笑)。そんなハプニングも含めて、畑と都会を行き来して過ごす日々を楽しんでいます。